ヨガで暮らしと心を整える

家事を「瞑想」の時間に。心が落ち着き、イライラが消える。

今や、グーグルやインテルなどの大手企業も研修に瞑想を取り入れるなど、ヨガや座禅が習慣にある方以外にもどんどん一般的になりつつある瞑想。
 イライラが消えて落ち着いたり、不安やストレスが減ってリラックスしたり、よく眠れるようになったり、結果的に免疫力が上がったり、とその効果はとても大きなものです。
 体や心に良い影響があると知り、やってみようと思ったもののやり方が難しく続かなかったという方も多いかもしれませんね。
 そんな私も、ヨガを始めた頃は「瞑想」というのは「無になるもの」だと思いこみ、全然無になれない自分に苛立ち、なかなか瞑想が続かなかったこともあります。
 ですが今は、あるシンプルな瞑想のやり方で習慣として続けることができています。
 とても日常の中で取り入れやすい瞑想なので、ご紹介したいと思います。

自分を観察し、気づいていく

瞑想と聞くと、座禅を組んで座り目をつむってする姿勢を思い浮かべる方が多いと思いますが、これはなかなかハードルの高いもの。座り続けるのも痛くて辛くなったり、集中力が持たなくなってやめてしまうこともあります。
 瞑想はその瞬間の自分を観察して気がついていくことがまず最初のステップ。座って目をつむることだけが瞑想ではありません。
 おすすめは家事をしながら、今やっていることを観察して実況中継する。
 毎日必ずやる仕事があると思います。掃除をしたり、洗濯物を畳んだり、料理を作ったり、洗い物をしたり。
 その作業の際、どんなことを考えていますか? おそらく、単純な作業ほど体が覚えているので頭の中は別のことを考えていたり、上の空だったりしませんか?

家事を瞑想にすれば、リラックスする

その時間を瞑想に変えてみましょう。やり方は簡単です。今自分がやっていることをただ観察していきます。
 例えば洗い物だったら、頭の中で「スポンジを取る、洗剤をつける、皿を取る、洗う、コップを取る、洗う、水を出す、流す、置く……」こんな感じにただただ観察して実況中継していきます。自分がやっている行動をできるだけシンプルな言葉で表すほうが集中に入りやすいです。
 途中で、「めんどくさいなぁ」「早く終わらせて子どもをお風呂に入れなきゃ」などの頭のおしゃべりが始まるかもしれません。
 それに気がついたらまた、「今めんどくさいと考えた」などというように一旦そこで頭のおしゃべりを止めて作業を観察することに戻ります。

また、「あ、肩や指に余計な力が入っている」「呼吸が止まってた」と気づくこともあるかもしれません。気づけばそっと力を抜いたり深呼吸したり、そうすると、よりリラックスした状態で洗い物を続けることができます。
 集中が続くと、まるでもう一人の自分が今の自分を観察して見ているかのような感覚になってきます。
 そして、作業効率も上がりいつもよりも丁寧に、さらに早く洗い物を終わらすことができたりもします。
 実はこの工程はヨガのポーズを取っているときと全く同じこと。ポーズを取るときも、今の自分の呼吸の状態、体の状態、感情などをひとつずつ丁寧に観察していきます。

なぜ家事が瞑想になるの?

「無になる」にはまず「雑念を消す」こと。雑念の多くは、過去の後悔や将来の不安など「今」ではない状態を思っていること。
 私もよく洗い物をしながら、「早く子どもをお風呂に入れてくれないかなぁ」などと余計なことを考えてイライラしてしまったりします。その結果お皿を割ってしまってさらにやることが増えてイライラ……。そこから不要なネガティブトークが頭の中で始まることも……。
 今やっていることを観察して集中していると、雑念が入り込んでこず、落ち着いて今やるべきことが見えてきます。余計なことを考えないと、心もリラックスしてきます。
 雑念が入り込んでもまた、作業に集中する。ヨガでは瞑想が深まるためには「集中」という段階がとても大切だと言われます。
 そのために家事という単純な作業は、とても瞑想に向いているんですね。

家事を瞑想にすると、ストレスが軽減する

私は子どもが生まれてから、自分のヨガのポーズの練習や瞑想の時間が取れないことにイライラしてしまったことがあります。
 ですが、この「家事を瞑想にする」と発想を変えたことで、いつもやっている単純な家事にストレスがなく楽しめるようにもなりました。
 忙しくて座って瞑想やリラックスの時間が取れないという方や、家事が苦手だなと感じている方にもおすすめです。
 この家事での瞑想を1日気がついたときに何度でもやってみる。それが習慣としてできるようになってくると、座って目をつむる瞑想も自然と深まるようになってきますよ。