「家は、暮らしの宝石箱でなくてはいけない」−ル・コルビュジエ
この言葉を知ったのが、津端修一さん(90歳)妻の英子さん(87歳)ふたりの暮らしを描くドキュメンタリー映画 「人生フルーツ」をみてから。
「人生フルーツ」を観て
修一さんが尊敬する、アントニン・レーモンドの自邸を倣って建てた家。おおきな窓からは心地のよい雑木林の風景と光が差し込み、庭には小鳥が飛び交い、色とりどり花や果実。なんと70種の野菜と50種の果実だとか。
まさに、宝石箱のような夫妻の家と庭。
その宝石箱は、何年も何年も長い時間をかけてコツコツと作られてきたもの。
風が吹けば、枯葉が落ちる。
枯葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実がみのる。
こつこつ、ゆっくり 。
人生フルーツ
映画の中で、何度も繰り返されるこのナレーション。
はじめてそのお家を見た時は、この雑木林の中に家を建てられたのかな?と思っていたら、なんとその雑木林も自ら育てられたもの。
開発で切り崩されてはげ山になってしまったニュータウンの土地を買い、ひとりでも里山を取り戻すことができるか、という実験のもと育てられたのだとか。
夫の修一さんが映画のなかで「こつこつと自分でできることをやり続けてみた結果、見えてくるものがある」のようなことを仰っていた。二人の暮らしはそういうことの積み重ねのようにも見えた。
二人のような、平屋で畑仕事をしながらのスローライフ。それは私もいつか、と憧れるものではあるけれど、この映画は、そういう暮らしを進めているものでもないと思う。
最初の「暮らしの宝石箱」という言葉と、「こつこつ」というキーワードが私の中に深く残りました。
私がこつこつと続けているものはヨガもひとつだし、今となってはこうやって文章を書くこともこつこつのひとつになっている。
暮らしの宝石箱になる家。心地よい暮らし。こつこつと。