春はよく泣きたくなるから、こういう優しい物語が読みたくなるのかも。
「ヲトメノイノリ」に引き続き、こちらもじわじわと心に効く短編集。
原田マハさんは自身がキュレーターの仕事をしていたこともあって、美術や芸術に関する話や描写もうまい。小説を読んでいると、絵が浮かぶように感じることもある。
この中では「無用の人」のラストの美しい情景が目に浮かぶようでとても好きだった。
この1冊は全ての話の主人公が、そういえば、年を重ねた独身女性。美術や建築関係の仕事をしている女性だったり、フリーランスの広告ディレクターの女性だったり、作家だったり美容師だったり。
「結婚」「子育て」とはまた違った生き方を選んだ女性たち。その中で親の死があったり、自身の病があったり。
キーワードだけを並べてみると、一見孤独のように見えるけれど、決してそうではない物語6編。
「あなたは、誰かの大切な人」というタイトルにもある言葉どおり、誰にでもそういう人がいるんだと。
また読みたくなるかもしれないな、桜の咲く時期に。
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